インスタなどでよく見るWICの写真があります。
棚板とハンガーパイプで壁面を埋めた、すっきりとした空間。
実際に使っていると、ごちゃごちゃになってあの写真のようにはなりませんでした。
原因は、収納する量と種類に対して棚の構成が合っていなかったことだと、新居の設計を通じて気づきました。
この記事では、家じゅうの収納物を洗い出すところから始めて、WICを中心に据えた間取りを作るまでの実例を紹介します。
収納設計の手順の概要はこちらの記事にまとめています。
家にある収納物をすべて洗い出す
WICの棚構成を考える前に、まず家じゅうの収納物をリストアップして容積を把握する作業をしました。
WICだけでなく、パントリー・洗面室・各部屋の収納まで、家全体が対象です。
WICに収めたかったモノを例にすると、次のような形になります。
| 収納するもの | 容積の把握方法 |
|---|---|
| 衣類(整理ダンス) | 引き出しのW×D×H×段数 |
| 衣類(ハンガー掛け) | 長丈・短丈別に必要なポール長 |
| 書籍・書類 | 本棚のW×D×H×段数 |
| ペット用品 | ケースなどのW×D×Hと個数 |
| その他(掃除機など) | 個別に把握 |
この調子で作った我が家のリストは80行ほどになりました。
サイズを測って記録していく作業はかなり面倒です。
それでもここで頑張っておけば使いやすい収納の家ができると思って取り組みました。
リストに多少の漏れはありましたが、やらなかった場合と比べれば間取りの精度はずっと高くなったはずです。
収納物の全体量が把握できると、どの部屋にどれだけの収納スペースが必要かが見えてきます。
これをもとに各収納スペースの位置と形を設計士さんと詰めていきました。
WICの位置と通路の取り方
間取りの中心にWICを置く
我が家のWICは2階の間取りの中央付近に配置しました。
この配置によって2階のほぼ全室をつなぐ大きな回遊動線ができ、各部屋間のアクセスがとても良くなっています。

この動線はとても気に入っていたので、当初案から位置は変えていませんが、隣のリビングと調整して少し広くしています。
リビングをできるだけ広く取りたいと考えがちですが、住んでみると収納スペースをしっかり使いやすいように確保することを優先させて正解だったと思います。
WICを単体で考えるのではなく、隣接する洗面脱衣室・洗濯機との動線をセットで設計したことで、洗う→乾かす→しまうの流れが短い動線で完結しています。
洗面室まわりの詳細はこちらの記事にまとめています。
ウォークインかウォークスルーか
間取り的にはウォークスルーにすることもできました。
ただ、開口部を増やすと収納スペースが減ります。
扉も増えて壁面が乱れる。
これらを考慮してウォークインを選択しました。
| WICのタイプ | 特徴 |
|---|---|
| ウォークイン | 開口部が1つ。収納スペースを多く確保 できる |
| ウォークスルー | 開口部が複数。動線の柔軟性は上がるが 収納スペースはその分減る |
ウォークスルーを選ぶなら、それによって生まれる動線上のメリットが明確に見えている場合に限った方がいいと思います。
「なんとなく便利そう」で選ぶと収納スペースを削っただけになりかねません。
棚構成の決め方
使用シーンを繰り返しイメージする
リストアップした収納物をもとに棚構成の案を考えました。ある時点でのWIC図面はこんな構成でした。

リビング通路に面してブックシェルフを設け、WIC側は3面に棚板とハンガーパイプという構成です。
これを眺めながら使用シーンを繰り返し想像した結果、次のように考えが変わっていきました。
- ブックシェルフをLDK側に見せると、きれいに保つ自信がない
- それならWICの中に入れてしまった方が気を使わずに収納できる
- WIC内に入れるならブックシェルフよりWIC用のシステム収納の方が使いやすそう
- ハンガーパイプはこんなに長さは要らない
書いてみるとシンプルですが、実際にはかなりの時間をかけて考えました。

完成したWICの内部
最終的には一条工務店のシステムパントリー(ウォークインタイプ)を一角に据えた構成にしました。

収納する予定であったものは次のように収めています。
- 下着などの小物衣料:整理タンスに入れてハンガー下のスペースに
- 季節ものの衣類:布製ケースに入れて棚上に収納
- 書籍・書類:WIC内のシステム収納に収める
- ハンガー掛けの衣類:長丈・短丈に分けて必要な長さのパイプのみ確保
- 掃除機:WIC内の仕切り壁に壁掛けブラケットを取り付け
WIC用システム収納・ハンガーパイプ・ワンコスペースの組み合わせはかなり独創的なアイデアだと思いますが、使い勝手はとても良いです。
ワンコスペースの造作についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
WICの折れ戸
設計を進める中でいつからか意識するようになったことに、「扉の開け閉めが必要ない間取りを目指す」というものがありました。
WICには扉をつけたいけれど普段は開けっ放しにしておきたい、と設計士さんに伝えました。
引き戸は取り付けできないスペースだったのでどうなるかと思っていたところ、提案してもらったのが左右非対称の折れ戸でした。

これの何が良いかというと、開けたときの通路側への出幅が約12センチしかないことです。
開けっ放しにしていても通行の邪魔にならない。
制約のある条件の中でこういう解決策をさっと出せのは、設計士さんの経験があってこそだと思います。

住んでみての使用感
良かった点
開けっ放しにできる折れ戸のおかげで、WICへの出入りがとてもスムーズです。扉を意識する場面がほとんどありません。
WIC用のシステム収納は小物の整理がしやすく、ハンガーパイプの長さもちょうど良いし、整理ダンスも収まりが良い。
リストアップをもとに構成を決めた甲斐がありました。
WICを間取りの中心に配置したことで2階全室を周る回遊動線もでき、各部屋間の行き来がスムーズです。

扉も少なくほぼ開けっ放しなので、なおさらアクセスの良さを感じます。
反省点
反省点はWICとリビングの境界壁を利用して造作したワンコスペースまわりの寸法設定です。
WICの一角をくり抜いて下側がリビングに面したワンコスペース、上側がWICになっているのですが、上下方向の仕切りであるカウンター板の位置が少し高すぎて、WICのハンガーにつるした洋服が下に触れてしまいます。
詳細は下の記事でまとめていますが、設計時にもう少し細かく詰めておけばよかったと思っています。



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