間取りの打ち合わせが始まると、部屋の広さや配置に意識が向きがちです。
しかし住み始めてから
「収納が足りない」
「使いにくい場所に収納がある」
という後悔が出やすいのも、実は収納まわりです。
後から収納の位置を変えることは出来ないし、収納量を増やすには収納家具を入れなければなりません。
だからこそ設計の段階では、生活動線と一体で使いやすい収納スペースを考えておく必要があります。
この記事では、一条工務店で設計打ち合わせをした経験をもとに、収納で後悔しない間取りを作るための3つの手順と実例を紹介します。
なぜ動線と収納を一体で考えるのか
生活動線にはモノの出し入れが必ず伴う
生活する中での動作には、モノを手に取る・片付けるという動作が必ず発生します。
- 入浴するときは、タオルや衣類
- 洗濯するときは、洗濯物や洗剤
- 外出するときは、カバンや上着
これらがその動作を行う場所の近くにあると、生活動線はストレスのないスムーズなものになります。
逆に離れた場所にあると、それだけで毎日の小さな手間が積み重なっていきます。
最適な収納スペースの形は収納物によって異なる
収納はスペースさえ確保すれば良い、というわけではありません。
布団を収納するには奥行きと大きな開口が必要ですし、タオルや下着類は小分けできる棚が使いやすく、掃除機などの長物には縦に抜けた空間が必要です。
収めるモノに合った高さ、奥行き、棚の形などが考慮されていなければ、スペースがあっても使いにくい収納となってしまいます。
収納で後悔しない3つの手順
ステップ1|家じゅうの収納物をリストアップする
まず現在の家にある収納物を全て書き出します。把握しておきたいのは「何が」「どのくらいの容積で」あるかです。
| 収納しているもの | 容積の把握方法 |
|---|---|
| 衣類(整理ダンス) | 引き出しのW×D×H×段数 |
| 衣類(ハンガー) | 長丈・短丈別に必要なポール長 |
| 書籍・書類 | 本棚のW×D×H×段数 |
| 布団 | 枚数とたたんだときのサイズ |
| ケースに入れた雑貨など | ケースなどのW×D×Hと個数 |
| その他(掃除機など) | 個別に把握 |
細かくて面倒な作業ですが、このリストが後の判断の根拠になります。
我が家では80行ほどの収納物のリストが出来上がりました。
この作業、やってみると思わぬ副産物がありました。
いらないもの・使っていないものが結構あることに気づいて、断捨離する良い機会になったのです。
とはいえ、使いもしないのに捨てきれずに持ってきてしまったものもあります。
引っ越し後一度も使っていないものがたくさんあることを考えると、引っ越しを機に捨てるべきものはしっかり捨てておくのがいいと改めて思います。
もうひとつ反省点があります。
スポーツ用の自転車が2台あり、設計上で収納場所を確保するのが難しかったため、
「引っ越してからでもどうにかなるだろう」
といい加減に扱ってしまいました。
結果的に小屋裏収納があったので事なきを得ましたが、そうでなければ部屋にそのまま置くか処分するかしないといけないところでした。
大きくて扱いに困るものほど、あいまいにせずしっかり考えておくべきでした。
ステップ2|新居でのあるべき収納場所を考える
ステップ1で作ったリストの収納物それぞれについて、
「新居ではどこに置くべきか」
を考えて書き加えます。
「どこで使うものか」
「どこにあれば使いやすいか」
を念頭に、生活動線をイメージしながら整理します。
このステップを終えると、収納物・容積・新居での配置先が一覧になったリストができあがります。
これが家全体の収納計画の土台になります。
ステップ3|収納スペースの位置と形を決める
ここが最も悩ましいプロセスだと思います。
間取りによって確保できるスペースは変わってくるし、持ち物も人により異なるので
「こうすれば間違いない」
という解はありません。
以下に収納スペースの配置を考えるうえで工夫できるポイントを3つ紹介します。
これらをうまく利用できれば収納の配置の柔軟性が増して、より使いやすい収納計画を造ることができると思います。
1.収納の奥行きの工夫
収納の奥行きは収めるモノに合わせて選びます。
敷布団なら90センチあった方が良いですが、パントリーや水まわりの小物などは45センチあれば充分。
入れるものに合った奥行きを選ぶと、使い勝手が良くなるうえに床面積を有効に利用することが出来ます。
必要以上に奥行きを取ると、奥に入れたものが取り出しにくくなってしまいます。
なお一条工務店の家に住んではじめてわかったことですが、冬暖かいので冬用の厚い掛布団を使いません。
奥行き90センチの収納をつくるか迷う場合、次の点も考慮すると良いと思います。
- ベッド利用なら敷布団は収納しない。薄めの掛布団だけなら奥行きは90センチなくても収納が可能
- 来客用の敷布団は使用頻度低いので、出し入れの手間はかかるが巻いて収納すれば奥行きが90センチなくても収納が可能
2.収納の開口位置の工夫
外壁に接しない収納スペースであれば、壁を挟んで複数の部屋に接しています。
収納スペースの奥行きを持て余す場合は、双方の部屋からアクセスできる奥行きの浅い収納に分割して使用する、という選択もできます。

3.大型収納の通路の工夫
ウォークインクローゼットやファミリークローゼットなどの大型収納は、内部の通路の取り方によって収納力と使い勝手が大きく変わります。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| ウォークイン | 開口部が1つ。通路は必要だが収納スペースを多く確保できる |
| ウォークスルー | 開口部が複数。動線の柔軟性は上がるが収納スペースはその分減る |
| 押入タイプを複数 | 通路が不要で収納効率は最も高いが、廊下や壁面の制約を受けやすい |

無駄なスペースが生じないと言われる押入タイプの収納も、廊下が必要であったり開口部には家具を配置できなかったりと、デメリットあります。
どれが良いかは間取りの全体の中でのバランス、収納スペースの使い方、そしてそれぞれの好みによるものです。
私は、廊下は極力少なくして壁は残したいので、ウォークインは造りたい。
けれどもウォークスルーは通路がちょっと勿体ないので、よほど良い動線が作れるのでなければ造らない、という考え方でした。
収納スペースの実例
一条工務店にはいろいろなタイプのシステム収納が標準で用意されているので、収めるモノに合わせて選びます。
- 大物(布団など):棚仕切りの少ない押入タイプ
- 小物(タオル・下着など):細かく仕切られたシステム収納
- 長物(掃除機など):縦に抜けた空間のあるタイプ
- 子供部屋などの個室 :ハンガーパイプ付きで小物類も整理できるマルチタイプ
といった具合で。
以下に我が家の実例をいくつか紹介します。
キッチン家電用の可動棚
奥行き60センチのスペースに、手前にロールスクリーンを取り付けられるよう奥行き45センチの可動棚を設置しました。
最下段の電子レンジ置き場だけ45センチでは少し浅いので、奥行き55センチのフリーカウンターを固定しています。
フリーカウンターは、下にゴミ箱を置けるように高さを設定しました。

パントリー
奥行き45センチ、幅2マス。
真ん中に壁を挟んで2つの可動棚に分割しました。
強度が上がり、左右で収納するものを分けて整理しやすくなっています。
パントリーは雑然としがちなので入口に引き戸をつけて、普段は使い勝手を優先させて開けっ放し、来客時には閉めて隠せるような設計にしています。

浴室横の収納
洗濯機と浴室の間に位置しているので、左半分の洗濯機寄りには洗剤などの洗濯用品、右半分の浴室寄りにはタオルなどの入浴関連のものを収納しています。
動線と収納を一体で考えた効果が感じられる収納スペースです。

セカンドリビング兼客室の押入
普段は9畳一間として使い、来客時には4.5畳×二間に分割できる部屋です。
間仕切り用の3枚扉と客用布団を収納する必要があり、棚などのない空洞の収納を選択しました。
悩んだのは3枚扉の収納方法です。
設計上うまく収める方法が見つからず、住んでからラックを購入する予定にしました。
住み始めてラックを探しても良いものが見つからなかったので、イレクターパイプで移動できるキャスター付きのラックをDIYして対応しました。

小屋裏収納について
設計打ち合わせの終盤で小屋裏収納を追加しました。

机上ではすべての収納物がなんとか収まる計算でしたが、費用が比較的安く抑えられることと、なんとなくワクワク感があることもあって小屋裏収納を造ってもらうことにしました。
実際に荷物を搬入してみると、2台の自転車や引き渡し時にもらった予備の壁紙など、多くの荷物を収納でき、大活躍しています。
一条工務店の小屋裏収納はリーズナブルに大きな収納スペースを確保できるので、一度は検討してみる価値があると思います。
実例記事
WICや洗面・脱衣室の動線と収納について、以下の記事で詳しく紹介しています。
おわりに
収納の計画は地味で手間のかかる作業ですが、住み始めてから毎日の暮らしに直結します。
完璧にはいかなくても、ステップ1のリストアップだけでも丁寧にやっておくと、設計打ち合わせの質が大きく変わります。
設計打ち合わせの準備全般については、こちらの記事もあわせてどうぞ。





コメント