犬と暮らすリビングには、ケージやサークルを置いているご家庭が多いと思います。
ただ、ケージを部屋に置くと存在感があります。
インテリアの中で浮きますし、成犬になってからはケージに入れること自体ほとんどなくなっていました。
かといって何もないと、犬が落ち着いて籠れる場所がない。
この記事では、リビングの壁をくり抜いてワンコ専用スペースを造作した事例を紹介します。
設計の経緯から仕様の詳細、住んでみての使い勝手まで、一条工務店での実例としてまとめます。
ケージに代わる選択肢として
犬が好む空間には共通した要素があります。
狭い、周囲が囲まれている、落ち着ける。
いわゆる巣穴に近い環境です。
前の家では、階段下のスペースを造作してもらってワンコスペースを作っていました。

三角形の変形スペースでしたが、チョコとくろはそこを気に入って使っていました。
静かに休みたいときは自分からそこへ入って休み、トイレスペースも兼ね、来客時には仕切りを置いておとなしくしていてもらう、という使い方をしていました。
ケージと違って空間に溶け込む形になるので、部屋がすっきりして見える。
その体験があったので、新居でも同じようなスペースを設計に組み込みたいと、早い段階から考えていました。
設計の考え方
検討した案と決定までの経緯
ハウスメーカーを選んでいるときから、新居でも壁をくり抜いた型のワンコスペースを作りたいと考えてはいました。
しかし家の性能を考えて、間取りの制約が多いと言われる一条工務店に決めたので、思うようなワンコスペースを実現できるかどうかが気になっていました。
まぁ無理なら仕方がないので他の方法を考えようと、まずは設計士さんとの最初のミーティングで訊ねてみます。
すると設計士さんは特段考える様子はなく即座に
「できますよ!」
と。
設計士さんから最初に提案されたのはリビングと寝室を結ぶ通路の収納スペースを使う案です。
この場所はリビングから常に見える場所ではないので、ワンコたちの様子を確認しにくい。
そこで場所を変更し、リビングとWICの間の壁を使う現在の位置に落ち着きました。
構造のイメージ
私がイメージしていた構造は次のようなものです。

- リビングとWICの境界にある壁の1マス分の下部をくり抜く
- 左右と奥、天井を壁で塞ぐ
- ワンコスペースの裏側はWIC
このようにリビングとWICを立体的に区切ることで、下側はリビング側から出入りできるワンコスペースに、上側をWIC側からアクセスできる収納スペースとして使う構造です。
ワンコスペースのためにWICの下側のスペースを一部削る形にはなりますが、上部空間は収納として有効に使えるので、大きなロスにはなりません。
設計上悩んだこと
ワンコスペースの天井高は設計時に最も悩んだ点のひとつです。
リビングのワンコスペース上部の壁にはプロジェクターを投影したいと考えていましたが、
- 天井を低くすると掃除などのメンテナンスがしにくい
- 天井を高くすると投影スペース圧迫される
ワンコスペースとしての使い勝手と投影位置のバランスを考えながら高さを決めました。
なかなか消えなかった疑念
制約が多いと言われる一条工務店だから実現が難しいかもしれない、という先入観があったからかもしれません。
設計士さんには「できますよ!」と言われたものの、作成される図面ではリビングとWICの間に穴が空いているようにしか見えませんでした。

図面が更新されるたびに念のため設計士さんに確認し続けましたが、最終図面でもリビングとWICがトンネルで続いているように見えます。

それでも設計士さんに聞くと「大丈夫」とのこと。
図面からは完成の形をイメージできませんが、設計士さんの言葉を信じて進めます。
仕様の詳細
詳細の設計図
設計打ち合わせの終盤に「施工連絡票」という、現場の大工さんに渡される図面を見せてもらいました。


これを確認してようやく安心しました。
当初のイメージ通り、リビングとWICの境界壁をくり抜き、その空間を上下に分割した構造です。
下側がリビング側からアクセスするワンコスペース、上側がWIC側からアクセスする収納スペースになっています。
ワンコスペースを構成しているのは4つの要素です。
- 入り口側は垂れ壁
- 奥は腰壁
- 両側面は天井までの壁
- ワンコスペースの天井はカウンター板で製作
この4つに囲まれた空間がワンコたちの居場所になっています。
設計時に最も悩んだ天井高含め、主な寸法は次の通りです。
| 部位 | 寸法 |
|---|---|
| ワンコスペース開口部の幅 | 910mm(壁芯) |
| ワンコスペース開口部の高さ | 900mm |
| ワンコスペース奥行き | 910mm(壁芯) |
| ワンコスペース天井高 | 1070mm |
| WIC側カウンター面の高さ | 1100mm |

住んでみての使い勝手
犬たちの様子

二匹とも、引っ越してすぐに抵抗なく入っていきました。
前の住居から同じカーペットとクッションを持ち込んだので、馴染みのある匂いと感触がそうさせたのだと思います。
日中は各部屋を好き勝手に動き回っていますが、静かに休みたいときはここに入って眠っています。
安心して眠っているのを見ると、環境は変わりましたがなかなかの居心地のようです。
人間側から見た使い勝手
ワンコスペースが壁の中に収まっているので、リビングがすっきりしています。
部屋の中にケージなどを置く場合と比べると、部屋がかなり広く感じられると思います。
プロジェクターの投影位置は、設計時に悩んだ甲斐あってちょうど良い高さに収まりました。

ワンコスペースの上の壁面に自然な角度で映せています。
一方でワンコスペースの天井高の設定は想定外でもありました。
リビングから見た開口部の高さはばっちりでしたが、天井のカウンター板はワンコスペースの開口部の高さより20センチも高い位置に取り付けられています。
カウンターが想定外に高かったため、WICのハンガーパイプにかけた服がカウンター板に触れてしまい、ギリギリ洋服掛けとして機能している状態です。

設計時にもう少し細かく確認しておけばよかったと思っています。
犬と暮らす家を建てる人へ
市販のケージやサークルに代わる選択肢として、このように設計段階から壁に組み込むという方法があります。
部屋がスッキリするし、壁に囲まれるので犬にとっても落ち着ける居場所になります。
制約が多いと言われる一条工務店でも、今回のような造作の相談に設計士さんは柔軟に対応してくれました。
これに限った話ではありませんが「一条工務店だから難しいかもしれない」と先入観を持たずに、まず訊いてみるのがいいと思います。
費用は造作として約9万円かかりました。
決して安くはありませんが、ワンコスペースとして使いながら上部は収納スペースとしても有効に活用できます。
ワンコたちにも人にもメリットがあり、これを考えるとそれだけの価値はあったと思います。


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